住宅模型の部品は、大きな平板(床・屋根)と薄い板(壁)です。フィギュア向けの標準設定のままでも刷れますが、床の上面が荒れたり、掃き出し窓の上が垂れたりします。ここでは MyHome3D で書き出した 3MF を Bambu Studio X1C で刷るときの設定を、「なぜその値か」と一緒にまとめます。記事の最後に設定ファイルを置いてあるので、取り込めばこの記事の内容がそのまま入ります。
読み込み: 「設定が無効」の表示は正常
MyHome3D の 3MF は、部品の形と並びだけを持っています。読み込むと「3MF ファイルの設定が無効なため、ジオメトリデータのみを読み込みます」と出ますが、これで正しい動きです。温度や充填率はプリンター側の設定で決まるもので、3MF には入れていません。この記事の設定(充填 15%、サポートあり、アイロンがけ)は、最後に置いたプリセットを取り込めばそのまま入ります。
品質タブ
| 項目 | 値 | なぜ |
|---|---|---|
| 積層ピッチ | 0.2mm | 壁の高さ 60mm で 300 層。0.12mm にすると時間が 1.6 倍になるが、模型では差が分からない |
| 1 層目の線幅 | 0.5mm | 太いほど台に食いつく。標準のまま |
| アイロンがけ | トップ面・流量 15% | 床の上面は手で触る所。壁や屋根の上面は小さいので時間はほとんど増えない |
強度タブ ― 床の上面を決める
| 項目 | 値 | なぜ |
|---|---|---|
| トップシェル層数 | 5 | 充填の格子の上に薄い天井を張ると、格子が透けて上面が荒れる。層を重ねて埋める。標準のまま |
| 壁ループ数 | 2 | 壁 3mm は 0.42mm の線 7 本。外側 2 周+内部ソリッドで埋まる |
| スパース充填密度 | 15% | 標準のまま。低いほど材料の縮む量が少なく、反りにくい。上面はトップ層で埋める |
| 充填パターン | ジャイロイド | 格子より上面を均一に支え、どの向きにも同じ強さ |
サポートタブ ― 壁は「あり」、床と屋根には生えない
| 項目 | 値 | なぜ |
|---|---|---|
| サポートを生成 | あり | 掃き出し窓の上は、模型で 5〜10cm の橋。ABS では渡らず、確実に垂れる |
| タイプ | ツリー(自動) | 窓の下だけに生え、根元が細いので剥がしやすい |
| しきい角度 | 30° | 標準のまま。壁の外面には生えない |
| トップ面との Z 間隔 | 0.2mm | 標準のまま。狭くすると剥がすときに窓の上が荒れる |
床と屋根は寝かせて刷るので、サポートは生えません。全部のプレートで「あり」のままで問題ありません。小さな窓だけの壁なら「なし」でも渡りますが、掃き出し窓が一つでもある壁では付けてください。
フィラメント
純正の Bambu ABS を勧めます。 標準的な色は揃っていて、品質が安定しています。品切れが多いのが難点ですが、スプールなしの詰め替え(リフィル)で買えば安く、空のスプールに巻き直して使えます。設定は純正 ABS の標準のまま(ノズル 240〜280℃、ベッド 100℃前後)です。変えたのはプロセス側だけです。
他社の ABS でも、AMS の素材設定で「Bambu ABS」を選べば同じ値で刷れます。保証はありませんが、私はこれでも問題なく刷れています。
AMS に同じ色の ABS を 2 本入れておくと、1 本が切れても自動でもう 1 本に切り替わります。住宅模型は一回で 200〜300g 使うので、スプールの残りを気にせず始められます。
刷る前の二つの習慣
脱脂: ビルドプレートを外し、ブレーキ&パーツクリーナーを吹いてキッチンペーパーで拭き取ります。手の脂が残っていると、そこから剥がれます。プリンターの中では吹かず、外して拭いてください。溶剤が強く、樹脂の部品や透明パネルに掛かると曇ります。
使っているもの: モノタロウ ブレーキ&パーツクリーナー
冷ます: 刷り終わったら、プレートごと冷めるまで待ちます。熱いうちに剥がすと、外したあとで反ります。テクスチャ PEI は冷えると自然に部品が浮きます。
床はこれで反りません。壁は底が 3mm 幅しかないので、のりを薄く塗るか、「その他」タブでブリムを「外側のみ」・幅 3mm・間隔 0.1mm にしてください。幅 3mm なら手で剥がれ、跡はほぼ残りません。屋根はブリムなしで大丈夫です。
設定ファイル
この記事の設定を一つにしたプリセットです。
設定ファイルをダウンロード(myhome3d-process-preset-x1c.zip)
取り込み方は「ファイル」→「インポート」→「構成データ…」で、この zip を選ぶだけです。プロセスの一覧の「ユーザープリセット」に「住宅模型 0.20mm Standard @BBL X1C」が出ます。
自分で同じものを作る場合は、プロセス名の右の保存アイコンで別名保存し、「ファイル」→「エクスポート」→「プリセットバンドルをエクスポート…」→「プロセスプリセット (.zip)」で書き出せます。
まとめ
- トップシェル層 5 と、壁のサポート「あり」。この二つで仕上がりの大半が決まります。
- 充填はジャイロイド 15%。低いほど反りにくい。
- 脱脂と、冷めてから外す。壁だけは、のりかブリム。
次の記事では、床が反る問題をどう解決したかを書きます。